世界最大の客船のデビュークルーズ
2006年6月4日。総トン数15万8000トン、世界最大の客船「フリーダム・オブ・シーズ(フリーダム)」デビュー。 「アミューズメントクルーズ」をうたい、船内プロムナードやアイススケートリンクなど斬新な発想で従来のクルーズとは一線を画してきたロイヤル・カリビアン・インターナショナルが展開する「ウルトラボイジャーシリーズ」の第一弾として、西カリブ海クルーズに就航する。 デビューを間近に控えた2006年5月初め、イギリスのサウザンプトン港発着、2泊の日程で行われた試験航海の様子をレポートする。
高層マンションを思わせる巨体にびっくり
客船時代華やかりし頃より、栄光のロンドン〜ニューヨーク間の大西洋航路の一端を担ってきたサウサンプトン。ロンドンからバスでこの港町に入り、ドックヤードに向かう。前方のターミナルのビルディングをはるかに凌駕する純白の箱型の物体は、予備知識がなければ一体なんだろうと誰もが不思議に思うだろう。各国からのプレス関係者が大挙して乗り込んだ車内では、どよめきがさざなみのように広がり、さっそくカメラを構える者の姿もちらほら。乗客のはやる心が後押しをするように、バスはするすると桟橋に接岸する「フリーダム」に横付けされた。 正装して待ちうけていたロイヤルカリビアンのスタッフ、テレビのクルーなどの報道陣、そして地元イギリスはもちろん世界中から集まってきた招待客、そしてわれわれプレスがチェックインを行う建屋内に集結し、身動きもままならないほどにひしめきあう。この一大イベントを盛上げようと、サーカスの仮装をしたものや、にわかサーファーたちがお祭騒ぎをさらに盛り立てる。その興奮が最高潮に達したとき、チェックインが開始され、手続きを終えた乗客は、我先にと乗船口のタラップに吸い込まれていった。2006年5月1日、正午頃のことだった。
堅苦しさなど無縁のフリースタイルに大満足
乗客はもちろん、クルーも全世界からこの船に集まってきた国際色豊かな面々。となれば船内の雰囲気はよい意味で、テンデバラバラ。みなめいめいが自分のやりたいことがなにかをしっかりわかっていて、そしてそれを心行くまで楽しみつくそうとの気概が実に良く見て取れる。もちろん自分たちの仲間だけで勝手に盛り上がっているわけではなく、偶然に隣り合わせた隣人との異文化交流も積極的に楽しんでいる。それは自分たち日本人に対してもまったく同じで、バーではかならず隣あった乗客から声がかかるし、ダンスのレッスンなどのアクティビティを取材していると、決まって「いっしょに楽しまない?」と声がかかる。そういうアティチュードは伝染するようで、いつしか自分も積極的にバーでバーテンダーや隣り合った妙齢の女性に話しかけていた。以前取材で知り合った外国に10年ほど住む日本人女性が、「海外と(この場合はアメリカ)日本と何が違うって、周りの人に気を遣わずに自分のやりたいようにやればいいってところね」、としみじみ語っていたことをふと思い出した。 日本船(しかもフェリーのみ)しか乗船経験のなかった身には、この感覚、実に楽しく、船の巨大さも手伝って乗船中はとても大らかな気持ちでリラックスできた。 「人目を気にすることなく心底だらりとリラックスできること」 これが今回感じたクルーズの魅力のうち、一番大きなウェイトを占める部分だ。まさにフリーダム!

焼きたてパンやマフィンの種類も多く、軽食にも最適なWind Jammer Café。
外国船だが、おかゆやフルーツのほかチャーハンや味噌汁など和のテイストも味わえる。
食後、満腹した身体をひきずってデッキへと出る。港には世界最大の客船の出航を見送ろうと多くの人たちが集まっていた。
彼のこのポーズに誘われるままにプールサイドのバーへ。船上だと昼間から飲む罪悪感を覚えないから不思議である。
夕方に行われた救命胴着を着用した避難訓練も、みんなでやればどこか楽しい。
今夜のディナーのドレスコードは「インフォーマル」。気さくに集まり、同じ空間を過ごすよろこびをまわりと共有できる。
いよいよ22時45分の出航を控えて花火が盛大に打ち上げられる。引き続いて屋外デッキをところせましとダンス天国がいつ終わるともなく続いた。
あちらこちらで「ありがとう!」「こんにちは!」など日本語で声をかけられた。英語でしか返せず、世界の言葉であいさつができるようになりたい、と強く思った。
なかなかキャビンに戻る気分になれず、夜の「街」をあてどなくぶらつく。
