―絵になる風景はどんな列車でしょうか。
やっぱり、乗客が列車に乗ることを楽しんでいるときはいい絵が撮れますね。たとえばタイなどでは、列車で旅をすることが一大イベントなので、乗客の熱気がカメラを通して伝わってきます。スイスやフランスなど先進国の乗客は一見クールですが、それでも観光列車に乗ると、「見なきゃ、見なきゃ」とみんな窓にかじりついていていい表情が撮れます。ただどうしても、ヨーロッパよりアジアの方が、「人と人との距離」が近いようで、被写体とのコミュニケーションがとりやすいですね。もちろん子供はどこの国でも素直ですから、カメラを見るととてもうれしがるのでいい被写体です。
―乗車取材中、ディレクターは何をするのでしょう。
乗車する時間とルートから、いつ、何を撮るかという指揮をとります。ですから地図と時刻表は決して手から放せません。また同時に、撮影するべき面白い乗客を物色、開拓したり、車掌から裏話を聞きだしたりしています。「世界の車窓から」の場合、基本的には事前にロケハンはやりません。一度きりの乗車で、ぶっつけ本番で撮影しています。その過程で起こるハプニングも「一期一会」。ですからカメラマンはリフレッシュになるとよろこんでいます。

