羅針流「体験型」の旅

[鉄道の旅]Chapter.2
「世界の車窓から」ディレクターが語る鉄道旅行の楽しみ

「世界の車窓から」テレビ朝日系で放送中
「世界の車窓から あこがれの鉄道旅行」書籍シリーズ(DVD付)好評発売中

「人と人との距離」の近さがいい絵につながる
語り/中村博郎(「世界の車窓から」ディレクター) 写真提供/テレコムスタッフ

「世界の車窓から」ではスイス・フランス(2005)、タイ・マレーシア・シンガポール(2004)、スペイン・ポルトガル(2003)、カナダ(1998)などのディレクターを務めた中村博郎(なかむら・ひろお)さんにインタビュー。

―絵になる風景はどんな列車でしょうか。

やっぱり、乗客が列車に乗ることを楽しんでいるときはいい絵が撮れますね。たとえばタイなどでは、列車で旅をすることが一大イベントなので、乗客の熱気がカメラを通して伝わってきます。スイスやフランスなど先進国の乗客は一見クールですが、それでも観光列車に乗ると、「見なきゃ、見なきゃ」とみんな窓にかじりついていていい表情が撮れます。ただどうしても、ヨーロッパよりアジアの方が、「人と人との距離」が近いようで、被写体とのコミュニケーションがとりやすいですね。もちろん子供はどこの国でも素直ですから、カメラを見るととてもうれしがるのでいい被写体です。

―乗車取材中、ディレクターは何をするのでしょう。

乗車する時間とルートから、いつ、何を撮るかという指揮をとります。ですから地図と時刻表は決して手から放せません。また同時に、撮影するべき面白い乗客を物色、開拓したり、車掌から裏話を聞きだしたりしています。「世界の車窓から」の場合、基本的には事前にロケハンはやりません。一度きりの乗車で、ぶっつけ本番で撮影しています。その過程で起こるハプニングも「一期一会」。ですからカメラマンはリフレッシュになるとよろこんでいます。

「車窓ではなく車上からの風景はまた格別でした」パタゴニアにて。

時にはヘリコプターをチャーターして空撮することも。南米パラグアイにて。

―それはどういうことでしょう。

テレビの撮影は基本的に、事前にきっちり構成を決めてからカメラを回すのですが、この番組では何かあったらすぐ撮らなきゃいけない。列車が故障するなど非常事態でもそのまま撮ることになります。そんな、指示がなくてもすぐに対応するという環境が、とても新鮮に感じるようです。これはディレクターにしても同じこと。その場その場の判断が求められるかわりに裁量の範囲が広く、その分やりがいを感じながらロケをしています。

―特に印象に残っているハプニングを教えてください。

パタゴニアでのことですが、石丸さん(ナレーター)が今でも話題にしていることがあります。取材中ふと気が付くと、列車が止まっている。何が起こったかと前方を見ると、牽引しているはずの機関車が見当たらない。いつのまにか連結部分が外れてしまったようなのですが、機関車は気づかずにどんどん先に進んでいってしまったんですね。しばらくして戻ってきて、何事もなかったかのように連結作業を済ませて出発したのですが、まあヨーロッパなどではありえないことでしょうね(笑)。

マレー半島で、田園風景を望みながら列車の登場を待ち構える。

いつも地元の子供たちに大人気の撮影チーム。シリアにて。

オールド・パタゴニア急行で奮闘する那倉カメラマン。

テレビ画面の旅情をそのままたっぷり収録
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放送歴19年、渡航国96か国。走行距離60万キロにわたり世界の鉄路を旅してきた番組スタッフが厳選した路線風景を紹介。スタッフが撮りおろした臨場感豊かな写真と、現地で見聞きした出来事をつづった文章で、居ながらにして世界各国の鉄道を旅できる。随所に盛り込まれた車両情報や沿線の観光情報に加え、「ディレクターズ日誌」や実際の「撮影隊のロケスケジュール」など、追体験したい人にもぴったりの内容だ。

Vol.1 遺産と古都をめぐる

「Vol.1 遺産と古都をめぐる」
(テレビ朝日、税込1,650円)

各地の史跡や文化、歴史にスポットを当て、かつての東西交流の道をたどる「シルクロード鉄道の旅」、ライン川とメルヘン街道を行く「ドイツ鉄道の旅」など10路線のほか、「特集・世界の3大夢鉄道」や番組ナレーター石丸謙二郎さんのインタビューなどを収録。

Vol.2 大自然を駆け抜ける(DVD付!)

「Vol.2 大自然を駆け抜ける(DVD付!)」
(テレビ朝日、税別1,850円)

アルプスと湖が織り成す絶景を行く「スイス鉄道の旅」、プラハ発ルーマニアの原風景を訪ねる「東ヨーロッパ鉄道の旅」など10路線を紹介するほか「特集・イギリス保存鉄道」など思わず見入ってしまう情報も多数収録。また本と連動したハイライト映像満載の特典DVDが附属。写真、文章に加え、映像美を加えた3次元の鉄道旅が楽しめる。

「Vol.3 歴史街道を走る(DVD付!)」
(テレビ朝日、税込1,850円)

今回のテーマは古代から中世までの歴史をたどる旅。古城街道を行くドイツの旅、古代遺跡やエーゲ海を行くギリシャの旅、中世の都を辿るオーストリアの旅、荒野を駆け抜け悠久の遺跡に出会うトルコの旅、中国シルクロードの旅など全9ルートを紹介。また番組スタッフ選りすぐりのベストショットを一挙公開した特集「96カ国・鉄道図鑑」も収録。

世界の車窓から

世界各国の鉄道路線を旅し、その車窓風景を通して鉄道のみならずその土地の魅力をも紹介する「世界の車窓から」。テレビ朝日系で毎日放送中です(月〜金 23時10〜15分、土 22時51〜57分、日 22時54分〜23時)。番組は1987年、ロンドンのキングス・クロス駅からスタート。2006年6月には放送開始20年目を迎え、まだまだ旅は続きます(番組制作テレコムスタッフ)。

テレビ朝日「世界の車窓から」