各国ロングステイヤーからの現地レポート
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ポルトガルポルトガルで知ったサッカーのあれこれ

名取友治さん、潮子さん(リスボン在住)2007年4月2日掲載

サッカーは門外漢だったのに…

ポルトガルの国民的スポーツといえばサッカーだということをみなさんはご存知でしょうか。ポルトガル人とサッカーは、日本人にとっての野球、相撲以上といっていいほどで、人々とサッカーは「一体化」しているようにさえ感じるほどです。私のサッカーの情報源は、テレビ、新聞、それにアパートの前の小さなレストランのオヤジさん。ポルトガルの「フットボール・クラブ」はFCポルト、ベンフィカ、スポルティングが3メジャーで、メディアの報道の過熱にぶりは巨人偏重メディアも足元に及ばないほどです。でもそのお陰で素人の私も何とか10人近くの名前を覚えました。サッカーに門外漢の私が、当地に来て半年で知ったポルトガル人のサッカー選手の名前は、フィーゴ、ロナウド、シマオン(シモン)、ナニ、リエドソン、それに苦みばしったいい男の監督モウリーニョ(英国のクラブ監督)で精いっぱいです。

12歳で、リスボンに本拠地をおくクラブチームのスポルティングに入り、16歳で1軍デビューを果たしたフィーゴがいま引退か否かで世間を騒がせ、本人は世間以上に胸中騒然としているようです。フィーゴは、小学校卒業と同時にスポルティングの養成スクールにスカウトされ、18歳でもう代表選手(国際試合で編成されるあれです)になり、34歳の今年もまだ現役という経歴の国民的な英雄です。

そんな人と知らずに、彼を最初に見たとき「老けた選手だな」という印象でした。そりゃいまが旬のロナウド君の爽快さを先に見たら、しょうがないでしょう。サッカーってそれくらいごまかしの効かないスポーツですね。昔、「サッカーは格闘技だ」というサッカー振興のスローガンを、「大げさな」という言葉とともに鮮烈に覚えています。その意味を数十年経ってこちらで見て、納得、実感しました。

同じくリスボンに本拠地をおくクラブチーム、ベンフィカのシマオン選手は、ポルトガル人のサッカー選手のなかでは背が低い方ですが(170cm未満)、にもかかわらずタマ転がるところいつも彼ありなんです(サッカーを知っている人とは「じゃ、彼のポジションは…」となるのでしょうが…)。ともかくテレビカメラがタマを追うと、彼が映るわけです。そして敵の選手と激しくぶつかると、彼は必ず弾き飛ばされます。いえ決して大げさでなく、吹っ飛んで、ころころと数メートルは転がります。ペナルティを狙って転がり合う場面も多々見かけますが、彼の場合は完全に体力負けで転がっています。そのシマオン選手でも、日本のJリーグの選手よりはぐんと胸板の厚さがあります。中田や中村らがよくぞこっちでやってられたもんだと、つくづく感心します。

ポルトガルで知ったサッカーのあれこれ

Photo: Masahiro Ohashi

試合があった翌日のキオスクは、スポーツ紙がどっと並んで、立ち読み客であふれる。うちのアパートの前のレストランのオヤジも立ち読み常連で、買うことはめったにない。

試合があった翌日のキオスクは、スポーツ紙がどっと並んで、立ち読み客であふれる。うちのアパートの前のレストランのオヤジも立ち読み常連で、買うことはめったにない。

ヨーロッパ中のサポーターとの出会いも

サッカーがもっとも盛り上がる春から夏にはすべての選手権の優勝決定戦が迫り、クラブチームはヨーロッパ中を転戦しますから、各都市にはアウェイのチームのサポーターが桁外れの数で集まり、飲んだくれます。何しろ世界中どこのスタジアムもアルコール禁止ですから、試合開始前の昼間には町中のアルコールを飲み干さんばかりとなります。

さらに印象的なのが、サッカーとロト(賭け)は一体であることです。ポルトガルのサッカークジはTotobola(トトボラ)といい、町中にあるキオスクなどで購入できます。1ユーロ、2ユーロという小額の掛け金を財布から引き出すオイちゃん、オバちゃんの姿が絶えません。

リスボンの街にはまったく不似合いな巨大なスタジアムは、古代ローマ時代のコロッセアムを想起させるものがあります。古代ローマ皇帝は政治に対する不満を、コロッセアムで流れる剣闘士の血で紛らせたといいます。サッカーは、その目で見れば他愛ないかもしれないですね。

そんなサッカーを一度はスタジアムで見てみたいと、つい先日ベンフィカ対ポルト戦のチケットを買いにスタジアムに行ったのですが、「売り切れ」と書かれた紙切れを見て帰ってきました。今年中にはぜひ行きたいと思っています。

スコットランドのクラブチーム、セルティックのサポーターが突如ロッシオ広場を占拠。日本人を見ると「シュンスケ」「ナカムラ」と声がかかる。2日間の野外宴会の後、やおらスタジアムに向かっていった。

スコットランドのクラブチーム、セルティックのサポーターが突如ロッシオ広場を占拠。日本人を見ると「シュンスケ」「ナカムラ」と声がかかる。2日間の野外宴会の後、やおらスタジアムに向かっていった。

上に見えるフットボールのマークは、サッカークジの取り扱いを意味する。こうした店がリスボンのいたるところに見られる。

上に見えるフットボールのマークは、サッカークジの取り扱いを意味する。こうした店がリスボンのいたるところに見られる。

ベンフィカのホームグランドのルス・スタジアムは、5〜6万を収容できる巨大かつ近代的なスタジアム。

ベンフィカのホームグランドのルス・スタジアムは、5〜6万を収容できる巨大かつ近代的なスタジアム。

Photo: Masahiro Ohashi

Photo: Masahiro Ohashi

名取友治(なとり・ともはる)さん、潮子(しおこ)さんプロフィール

共働きを続けてきた名取夫妻の現役時代の楽しみは娘たちとの海外旅行。20年ほど前に家族旅行ではじめて訪れたときに気に入ったポルトガルで、リタイアしたらロングステイをしたいと考えていた。2005年10〜12月の2か月間、リスボン近郊の海辺のリゾート、カスカイスでロングステイを楽しみ、さらに2006年8月からリスボンでロングステイ中。好きな音楽を聴きに行ったり、博物館や美術館をゆっくり見てまわったりと、1年間かけて自分たちの好きなことをじっくりのんびり楽しむ予定。

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