Q(大河内、以下同):高川さん、このグループは、いつから活動をはじめたんですか?
A:2007年3月から皆さんに呼びかけてスタートしたばかりです。月に1回、土曜日に集まっています。

大河内南穂子さん(バンクーバー在住、コスモス・セミナー主宰)2007年9月9日掲載
異国に長く住んでいると、思ってもみなかったこと、日本では会うことがなかっただろう色々な人にめぐり合います。実は最近、私にまたひとつ、愉しみが増えました。
「卓球して遊んだあと、美味しい物を食べにきませんか?」
呼びかけの主は、バンクーバーの郊外、サレーに住む高川征剛(セイゴ)さん。
日本では輸出入関係のお仕事をされ、34年前からカナダに移住されています。
何でも好奇心の強い私はさっそく、車を飛ばし30分。高川さんの住まいは、前庭の芝生に2本の巨大な蕗が頭を高く出している静かな環境。裏庭の半分は広い芝生と温室も備えた家庭菜園まであります。カナダの自然空間を思い切り取り込んである設計は、訪ねる人々の身体を充分に開放し、そこで集うと心まであたたかく包み込んでくれます。
近くに並ぶ各家の住民しか入ってこない、クレッセントと呼ぶ道路環境で、敷地は2エーカー(約2400坪)。
楓のカナダ国旗が玄関で歓迎してくれ、大きく開かれた扉からは元気な応援の声が聞こえてきました。
A:2007年3月から皆さんに呼びかけてスタートしたばかりです。月に1回、土曜日に集まっています。
前庭には何台もの車を停められます。
この日は「おでん」のランチでした。
A:10時から来ているのは卓球好きの、マイラケット持参組みで15人位です。昼食後のマージャンは2時からなので、後からくる人もいますよ。
A:カナダの住まいは空間が広いから、のんびり暮らせますよね。
A:なーんにもないです(笑)。来た順番に胸に番号札を付けて順番に対戦、ときにはダブルスもしています。時間は15分ずつで交代。
カーペット敷きの明るい居間で卓球大会が繰り広げられます。
高川さんの指導を受けながら、楽しみながらも真剣な私です。
A:九品の材料入り、ジャンボおでんです。他の日のレパートリーは大阪出身だから僕流の、お好み焼き、ばら寿司、それからカレーにスパゲティなどです。今日は自家製の山椒や蕗の葉の佃煮で、おむすびを握って西瓜ときゅうりの漬物も皆さんに味わって頂こうと思っています。
A:そう、78歳の男性もはじめは「今さら卓球なんかするもんか」と、いっていたのにハッスルして今ではホラ、冗談いいながら、皆さんと大笑いしてにぎやかでしょう。
A:さあ、どうぞどうぞ!
さっそく、ラケットを渡され、ヘルパーがハンドルの握り方から教えて下さいました。私のように天井目がけて球打ちしたり、ここぞという時に空ぶりばかりなのに、皆さん優しくアドバイスして頂けるのがうれしかったので、病み付きになりそう。これなら毎回仲間に入りたい!
先月のランチは大阪風の「お好み焼き」でした。
私は見学しながら、おしゃべりだけですが、卓球の後のマージャンタイム。
A:それでいいんですよ。皆さんが童心にかえって、しばしの間、日頃の悩みや、しがらみから開放されたら、僕は幸せだなあ!
皆さんとは偶然カナダで知り合いましたが、幼馴染のように仲がよく月に一度の卓球大会を指折り数えています。
A:つくったものを食べてもらうのは大好きです。卓球してお腹がへって、大勢で美味しい物を食べるのってめちゃくちゃ愉しいから。皆さんのよろこぶ笑顔が返ってくると、それに応えてお礼がしたくなるのは当然なことだと思うなあ。
A:ありがとう。大河内さんは、話題も豊富で愉しい人だから呼んだんです。ここでは皆さんが街のイベントや、新しい店の紹介、困ったことを話してみたり、教えてもらったり、お互いがひとつの家族みたいな親近感が涌いて、卓球やマージャンの腕を褒めたり励ましたりで、連帯感が自然に出てくるんですよ。
A:かわいいでしょ。あるメンバーが、「すばらしい音楽を大型スクリーンで聴いて、リラックスできるソファーに横になり、本を読ませて頂いた時に、あー、ここは私のパラダイスだと感じました」って、メールを送ってくれてうれしかったなあ。なぜ、ここで集まるかって、そこなんですよ。昔から人寄せが大好きで大勢は慣れているから、ちっとも面倒なことはない。ラッキーなことに時間や道具、広いスペースにも恵まれた環境ですから、簡単なことですよ。何よりも皆さんのよろこぶ顔が見たくてね。好きでしているだけなんです。
A:最近カナダでロングステイをはじめて、日本との往復をなさっている女性ですが、ご自分の趣味の時間も大切にしておられて、コーラスグループと、この卓球グループに入っています。ちょっとご紹介しましょう。
A:1年位でしょうか? こちらにくると、住まいのある東京と比べて何て自然が美しいと感じます。公園も多いので犬の散歩をしていると、こちらの方が声をかけて下さったり、時間が同じになったりするといっそう親しみが涌いて、簡単なコミュニケーションなども叶うのが楽しいですね。
A:病気もないですし、そうですねえ、歯医者さんに奥歯を治して頂いた時に感じましたが、確かに特殊な治療に関しては、少し費用が高いかも知れません。ただ一度の治療で終了したのがよかったです。日本だと少しずつ、何回も通いますから。
A:ハイ、交通がいささか不便にも思いましたが、この不便さが逆にありがたい、というか東京みたいにあまりにも便利な都会にはない、どこかオットリした、スローな暮らし方が好きです。
A:カナダは多様文化の国なので差別や偏見が少なく、個人主義が浸透している点で他人からの干渉やしがらみもありませんから、自分のペースで毎日をたのしめます。また天災が少ないし、平日と週末とのメリハリもあって、この卓球のように週末には目いっぱい遊べます。
A:公共の場では徹底して禁煙なので、空気も澄んでいます。湿気がなくてさわやかな夏が過ごせるし、みな個性を活かしたスタイルで服装もさまざま。街が静かで心地よく、日本食品が売っている店や日本食レストランも多くて助かっていますし、コミュニティセンターが身近にあってスポーツ施設も多く、安く利用出来ますね。ボランティア活動が盛んなことも見習いたいし、車いすの人が生活しやすくできていますよ。お酒やタバコの自動販売機がないのもよいですね。公園などのトイレにしても、ちゃんとお湯が出たり、ペーパータオルが用意されています。そんな環境で毎日エンジョイしています。
A:もちろん発音が通じなかったりはしますが、この国の方々は皆さんフレンドリーですから、優しく話しかけて下さいます。ただ、バスの座席や公共のベンチなどに土足で足を乗せるのはちょっとね。
手際のよいキッチン係りのベテランが料理の仕度、片付けをして下さり、常に笑い声が飛び交うすばらしい雰囲気。これはリーダー兼コーディネーターの高川さんの飾らぬ無邪気なホスピタリティのお陰でしょう。料理の買い物から、休憩時間のエンターテインメントまで、すべて事前の仕度が完璧だからです。
バンクーバーにはこうしたグループがアチコチにあるようです、異国生活での悩みなどスポーツをしながら語り合い、助け合う。なんとすばらしいことでしょう。
高川さんのお宅は、人が集まりやすいあたたかな雰囲気で溢れていました。気も使わずカナダにいることを忘れてしまいそうです。ああ、次回が待ち遠しい!
■清田敬子先生のホームページ:www.keikostextileart.com