各国ロングステイヤーからの現地レポート
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フィリピンわが街ベナルマデナを一望してみたら…

上野勲(いさお)さん、展子(のぶこ)さん(ベナルマデナ・コスタ在住)2008年4月8日掲載

ロープウェイにのって山頂へ

私たちの住むベナルマデナ市は人口5万人の街だ。標高430メートルのエル・カラマロ山から一気に海に駆けおりる坂の町といってよいだろう。アロージョ・デ・ラ・ミエル、ベナルマデナ・プエブロ、ベナルマデナ・コスタの3つの地区からなる。
商業の中心であるアロージョ・デ・ラ・ミエルにある遊園地、チボリ公園からはロープウェイに乗ってエル・カラマロ山頂まで上ることができる。
10月のよく晴れた日、僕たちは往復12ユーロの切符を買ってロープウェイに乗った。次々とやってくるふたり乗りのゴンドラに、係の男性が要領よく客を案内していく。
ゴトンとかすかに揺れて僕たちを乗せたゴンドラが宙に浮く。公園の観覧車が真下に見えてくる。だんだん小さくなって、街を埋める屋根々々に風景が変わる。海も見えてくる。山肌の岩や木が真下に見える。おのぶは昔から高所恐怖症だった。身体を硬くして一切真下を見ない。真下をのぞくのがロープウェイの醍醐味なのに。「12ユーロもして高い!」とおのぶは叫ぶ。僕は「安い!」という。「怖い!怖い!」を聞きながらおよそ10分で山頂に着いた。

アロージョ・デ・ラ・ミエルの街から望むエル・カラマロ山。

アロージョ・デ・ラ・ミエルの街から望むエル・カラマロ山。

チボリ公園のロープウェイ乗り場にて。乗っている間、ちょっとでも揺れると「怖い!」と叫んでいたおのぶ。揺れるから楽しいのに…。

チボリ公園のロープウェイ乗り場にて。乗っている間、ちょっとでも揺れると「怖い!」と叫んでいたおのぶ。揺れるから楽しいのに…。

街全体がまるでひとつの公園のよう

ここからの眺めがすばらしい。目の前にあるのは山なりに弧を描いた水平線をはさんでコバルト色の空と地中海。太陽を反射してまぶしく輝く海にはゴマ粒のような漁船やヨットさらに貨物船が見える。時には白い客船も見える。おのぶはさっきまでの大騒ぎをケロッと忘れたように、今度は手をかざしながら「きれいねえ!」「すてきねえ!」を連発している。
左手はマラガの市街。さらにそのずっと先にはシェラ・ネバダ山脈が白い雪をかぶっている。マラガ空港から離着陸するジェット機も海の上だ。飛んでいる飛行機は見上げるものだが、今僕たちは見下ろしている。それもおもちゃみたいにちっちゃいやつだ。
そこから手前に昔ながらの観光客のメッカ、トレモリーノスの街が見える。真ん中に我が街ベナルマデナ。それからビルの林立するお隣の街フエンヒローラ。その右手はずっと海の水平線と山の稜線が溶け合っていく。晴れた日にはアフリカ大陸の山々も見えるというが、今日はあのあたりがうっすらと煙っていて見えない。
眼下に広がるベナルマデナの街はとりわけ美しい。右手山の下の方に見えるのはベナルマデナ市発祥の町ベナルマデナ・プエブロ。手前がロープウェイの駅のある商店の町アロージョ・デ・ラ・ミエル。海に沿っているのは新興リゾートの町ベナルマデナ・コスタ。この3つの町を合わせてベナルマデナ市というわけだ。
ヨットハーバー、チボリ公園、ゴルフ場などが見える。屋根のレンガ色と住宅の白色が特徴的な住宅街も見える。そのまわりをマンション群がとりまいている。ベナルマデナは住宅や高層マンションがびっしりだと思っていたけれど、ここから見ると住宅と緑が美しくマッチして街全体がまるで公園のようだ。

セビーリャに次ぐアンダルシア州第二の都市、マラガを望む。

セビーリャに次ぐアンダルシア州第二の都市、マラガを望む。

トレモリーノスの街はいつも観光客でにぎわっている。

トレモリーノスの街はいつも観光客でにぎわっている。

フエンヒローラの海岸沿いの道を散歩するのも楽しみのひとつ。

フエンヒローラの海岸沿いの道を散歩するのも楽しみのひとつ。

フィエスタ(祭り)でにぎわうベナルマデナ・プエブロ。白い家並みが美しい村。

フィエスタ(祭り)でにぎわうベナルマデナ・プエブロ。白い家並みが美しい村。

建築ラッシュのベナルマデナ

「私っち(家)、見えないねえ」
さかんに目を凝らしていたおのぶが云う。わが家はベナルマデナ・コスタにある。海に突き出たカジノのあるトレッケブラダホテルとフラットホテルはすぐわかる。しかし、フラットホテルのすぐ前にあるはずのわが家はゴルフ場の起伏とユーカリの木の陰に隠れて見えない。
それにしても、ベナルマデナの建設ラッシュはすごい。4〜5階建ての大きなマンションがあちこちで建設中だ。坂の町なので何処からでも海が見える。この眺望を求めるように建物は山裾を這うように上へ上へと登っている。
我が家のある海沿いにも新しいマンションが次々とつくられている。次々につくられてまだ外観ができただけだというのに、販売用のオフィスが出現して売り出される。まもなく新築の窓々に「貸家」とか「売り家」の赤札が貼られる。買ったばかりの新しい持ち主が自分では住まないで貸したり売ったりするようだ。
エル・カラマロ山から見下ろすとすぐ下のほうまで建築の槌音が聞こえてきている。この現象はいったいいつまで続くのだろうか。ここ数年来のユーロ高に苦しめられている私たちには、そろそろ建築バブルがはじけて円高も間近だろうという声も聞こえてくるのだが。建築ラッシュが停滞する気配はベナルマデナ周辺に限って今のところ感じられない。
「そろそろ帰ろうか」
存分に眺望を楽しんだ私たちは、下りのロープウェイ乗り場へと帰途についた。

地中海リゾートの雰囲気漂うベナルマデナ・コスタ。

地中海リゾートの雰囲気漂うベナルマデナ・コスタ。

ベナルマデナ市を眼下に望む。

ベナルマデナ市を眼下に望む。

山腹まで広がるマンション建築。建築ラッシュはまだまだ続きそうだ。

山腹まで広がるマンション建築。建築ラッシュはまだまだ続きそうだ。

Photo: Masahiro Ohashi

Photo: Fumiya Kamakura

上野勲(いさお)さん、展子(のぶこ)さんプロフィール

海外派遣教員としてマレーシアで3年間働いた経験から、退職後は海外で暮らしたいと考えるように。1987年にはじめて南スペインを訪れ、1,600万円で3LDKの2階建ての1軒家を購入。2004年7月からベナルマデナ・コスタでのロングステイをスタートさせた。 ビザは「非営利目的の居住査証」を取得。愛称は、おったとおのぶ。

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