「えェ〜。トリモリーノスへまた行くんですか??」
思わず絶叫しそうになった。
「トレモリーノスでマラガへ行きなさいって云われて来たんですよ!! 30分も訪ね歩いてようやくここまで来たんですよ!!
バスで1時間もかかったんですよ〜!!…なんとか頼みます。ね、お願い!」
…最後は哀願調になる。おのぶも隣で「お願いします!」という表情を懸命に演じて援護する。
スペイン語もろくに話せない私たちをさすがに哀れと思ったのか、係りの女性がパソコンに向かって何やら調べてくれる。優しそうな係りのおばちゃんも加わって、なんとかなぐさめようと笑顔で話しかけてくれる。だけどいくらパソコンで調べてくれても、優しそうなおばちゃんがなぐさめてくれても、結論は変わらない。もう一度、トレモリーノスへ行くしかない。
スペインではめったに聞くことがない「ロ・シエント(ごめんなさい)。」といってくれたからまあここは勘弁してやるか。
これは、2008年、1か月後に日本に一時帰国するために、2月はじめ再入国許可証をもらいにマラガ警察署へ行ったときのことである。最初にトレモリーノス警察署へ行ったら、マラガへ行きなさいと書類を手渡されて訪ねてきたのだ。そして今また、受付はここではないからトレモリーノスへ行けという。
こんなことは今はじめて経験したことではない。私たちはこれを「スペイン流」と呼んであきらめの代名詞にしている。もちろんこの代名詞には「こんなに素敵なスペインに住まわせていただいているんだから」という気持ちが含まれていることはいうまでもない。
閉庁時間の2時に間に合うように、私たちはトレモリーノス行きのバス停をめざして大急ぎで引き返すことになった。
ことのはじまりは、以下のとおりである。
「ごめんなさい」といってくれただけ有難い?
マラガ警察署からの帰り道、ゴムの木の大木を見つけて記念撮影。怒りもちょっとおさまった?

