「ストライキじゃあないの?」
「まさか…」
「もう、1時間よ」
「うーむ。それにしても来ないなあ」
バス停にあふれていた人たちのなかには、タクシーをつかまえて乗る人が目立ってきた。
今日はナスの生姜焼きが食べたいということになり、生姜を買いに隣町のトレモリーノスにある中国食材店の「温州屋」へ行くことになった。ほかにも買うものがあったので、愛車のカリートをひいてバス停まで出かけてきたのだ。
「今日は行くのをやめようか」
「うん…」
事故があったにしても、これ程待たされたことはない。次のバスも来ない。なにか、特別な事情が起きたに違いない。するとストライキか…。でも、今までバスのストライキなんて聞いたこともない。大きな事故があったのかなあ。
しぶしぶ家に引き返そうとバス停が見えなくなる曲がり角まで来ても、おのぶはしきりに振り返ってバス停の様子を気にしている。僕も立ち止まって見る。
「せっかく今まで待ったんだからなあ」
「もうちょっと待ってみようよ」
ふたたびバス停のそばの木蔭に戻ると、水着姿のおばちゃんがふたりバスタオルを敷いて座り込んでいる。どうやら長期戦の構えだ。
ナスの生姜焼きが食べたくて食材店へ
ストライキとは知らずひたすらバスを待つ人々。
レストランのテーブルの横を「ちょっと失礼」

