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映画/オフサイド・ガールズ (2007年9月1日全国順次ロードショー)

映画/オフサイド・ガールズ

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映画/オフサイド・ガールズ

映画/オフサイド・ガールズ

映画/オフサイド・ガールズ

映画/オフサイド・ガールズ

映画/オフサイド・ガールズ

映画/オフサイド・ガールズ

がんばれ、オフサイド・ガールズ!

「オフサイド・ガールズ」というタイトルを聞けば誰もが間違いなくサッカー女性チームの活躍を想像するだろう。しかし、この素朴で力強いイラン映画は、サッカーを題材にしてはいるものの、主人公の女性たちは誰一人サッカー選手ではない。彼女たちのオフサイド=「ルール違反」は、フィールドではなく理不尽な国の規制に対して敢行される。
ユーモアと女性への思いやりに満ちあふれたこの作品は、昨年の第56回ベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員特別賞)ほか世界各国で数々の賞を受賞した。
帽子を目深にかぶり悲壮な決意を胸にバスに乗り込む男装の少女。今日はイラン代表がワールドカップドイツ大会出場をかけた大事な一戦。女の子だってサッカーが見たい!
でもこの国では法律により女性は男性と共にスポーツ観戦することが許されていない。逮捕覚悟でスタジアムに来たのは彼女ひとりではなく、結局5人の少女たちが逮捕され、スタジアムの外で柵に入れて監視される羽目になる。
スタジアムの壁越しに観客の一喜一憂の歓声を耳にしながら、試合を見られないばかりかタイムアップ後には留置所行きが待っている。
絶望的だ。一方監視する兵士も、本当は試合が見たいし、そもそもなぜ女性が見ちゃいけないのかうまく説明すらできない。

女性:「どうして女はスタジアムに入れないの?」
兵士:「男の下品な言葉づかいを聞かせないため」
女性:「日本女性は入っているのに」
兵士:「あいつらはイラン語がわからないから」

囚われた少女たちの激しい抗議と追及にたじたじの若い兵士たち。そのやりとりはユーモラスで風刺に満ちていて痛快だ。
しかし、厳しいイスラムの戒律と法規制の前では、勇気ある少女たちの行動も決してオフサイドを突破する事はできなかった。そして帰り道には官憲の護送バスが待ち受ける。だが、どんな目にあっても希望を捨てず明るく振舞う彼女たちを乗せたバスの行く手には思わぬ奇跡が待っていた…。
この作品に登場する人物は全て素人が起用され、本物のサッカー試合中にスタジアム周辺で撮影された。監督自身が痛烈な批判精神を発揮し逮捕覚悟で完成させた作品だが、彼女たちの自然な演技に悲壮感はまるでなく、むしろ痛快な一級の青春映画である。イランはアジア屈指のサッカー大国で、代表選手のアリ・カリミやダエイなどは日本でもおなじみ。現に撮影されたこの試合にも日本から女性を含む大勢の観客が訪れた。だが、こうしたイランの現実を知る日本人は少ないだろう。
女性が明るくたくましく、男はおどおどしながら体制を守ろうとする図式は日本もイランも同じだ。ひたすらゴールを守って3バックだの4バックだのと形式ばかりに固執している男たち。まさに現代社会はサッカー界そのもの、中間でパス回しばかりして(結論の出ない会議ばかりして)いつまでもシュートしないフォワード(経営者)はダメ男の象徴だ。オフサイドトラップを仕掛けるのは既得権維持の男たち、元気な女たちはオフサイドを恐れず果敢にゴールに向かっていく。がんばれ、オフサイド・ガールズ! と応援したくなる。
こんな素敵な映画が生まれた国、輝かしいオフサイド・ガールズが暮らす国に戦争を仕掛けようという大国の悪意を我々は見過ごしていいのだろうか。実はこの作品は本国のイラン国内では上映ができないのだが、いつか上映されることを心から願う。
(テキスト:神吉英行 Text: Hideyuki Kanki 2007年7月3日付)
2007年9月1日よりシャンテシネほか全国順次ロードショー

[原題]OFFSIDE
[URL]www.espace-sarou.co.jp/offside/
[製作・監督・脚本]ジャファル・パナヒ(「白い風船」)
[主演]シマ・モバラク・シャヒ、サファル・サマンダールほか
[配給]エスパース・サロウ、パンドラ