フランス映画祭で上映されるにふさわしい作品「パリ」。その名の通りパリの街に暮らす人々をおしゃれに素敵に描く。見れば誰もがパリへ行きたくなってしまうだろう。
まずタイトルバックが秀逸だ。テンポ良いジャズに乗せてパリの街並が短いカットで映し出され、さりげなく登場人物を紹介していく。最後に主人公のお尻に「Paris」の文字が浮き上がり、物語が始まる。ゴダールやトリュフォーへのオマージュのようでかっこいい。
主人公のイケメン独身ダンサー、ピエール(アルベール・デュポンテル)は、心臓の具合が悪くなり、病院で診断の結果、医師から心臓移植が必要であると宣告される。命が助かる見込みは50%。ピエールは、仕事を辞めアパートにこもって養生する。楽しみは、毎日窓から外を眺めることだけ。そんな弟を心配し、姉(ジュリエット・ビノシュ)は、3人の子供を連れてアパートに移ってきた。
場面が替わって、ピエールの暮らすアパートの向かいには美しい女子大生が住んでいた。その彼女に教室で一目ぼれする大学教授。一方、姉が通い始めた近くの市場には、離婚した八百屋と尻軽の元妻、女好きの魚屋など陽気な仲間たちがにぎやかに暮らしている。女子大生にときめいた教授はストーカーまがいのメールを送り、夢かなってモノにするが結局女子大生にもてあそばれてしまう。カメルーンからの不法入国者、口うるさいパン屋のマダム、主人公のダンサーにパリコレのモデルたち。人種も職業も違う彼らが、時に愛し合い、すれ違う。パリを舞台に小さなドラマが交錯する。
ラストシーン、病院からの電話が鳴る。主人公はタクシーに乗り病院へと向かう。車中から、憔悴した教授をはじめ登場人物が垣間見える。オープニングタイトルに呼応し、‘それでも人生は続く’と答えるようだ。
タクシーがデモの渋滞に巻き込まれ運転手がぼやく。
「パリはいつもこうだ。デモばかりやっている」
対して主人公が答える。
「これがパリ。誰もが不満で、文句ばかり言っている。普通に生きられることの幸せに気づいていない」
これは監督からのメッセージでもある。パリとそこに住む人々への愛情に満ちた傑作、本作品の日本公開を期待する。(文:神吉英行 Text: Hideyuki Kanki)
「フランス映画祭2008」は、3月13日(木)〜18日(火)まで東京・大阪で順次開催。期間中に長編13本、短編7本が上映される。
主催:ユニフランス
公式HP[URL]www.unifrance.jp/festival/
※「パリ」の上映は、2008年3月15日(土)21:00〜 TOHOシネマズ六本木ヒルズにて上映(日本公開未定)
[原題]Paris
[監督]セドリック・クラピシュ(「スパニッシュ・アパートメント」)
[出演]アルベール・デュポンテル、ジュリエット・ビノシュ(「ショコラ」)、ロマン・デュリス(「真夜中のピアニスト」)
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