「実話の映画化」には時々お目にかかるが、すべてが面白いわけではない。悲しい人生を見せられても暗い気分になるだけだ。その点、この映画は実話なのに、あるいは実話だからか痛快で面白い。同じラスベガスを舞台にした映画はあるが、本作品は他と一線を画している。ラスベガスを舞台に頭のよい主人公が大活躍する、最高に楽しい青春ドラマだ。
ギャンブル好きで数学好きなら、誰だって卓上に配られたカードの数を覚えたくなる。麻雀は136枚覚えなければならないが、トランプならたったの52枚。それもブラックジャックなら、カードの数を足して21になるかならないか、それだけのシンプルなルール。記憶力さえあればカードを記憶するのは不可能ではない。ましてや、数学の天才、マサチューセッツ工科大学(MIT)の学生なら。それがこの映画の前置きだ。
主人公のベン・キャンベル(ジム・スタージェス)は、MITでもトップクラスの頭脳の持ち主。バイト先のJ.PRESSでは、セール品の割引もすべて暗算してしまう電卓人間。そんなベンは、卒業後はハーバード大医学部をめざしているが、母子家庭なので30万ドルの入学金がとてもではないが払えない。人生唯一の悩みの種だ。そんな彼の頭脳に目をつけたのがミッキー・ローザ教授(ケヴィン・スペイシー)。優秀な学生を集め、ブラックジャックで必ず勝つ方法=カード・カウンティングを極秘研究していたのだ。しかも、研究チームには、ベンが密かにあこがれていた校内一の美女ジル(ケイト・ボスワース)がいたからいうことなし。ベンは30万ドルの学費を稼ぐまでという条件で、チームの一員になった。
それからのベンの活躍とチームワークは実にあざやかだ。週末にボストンとラスベガスを往復してカジノで勝ち続け、テンポのよい映像音楽とともに稼いだ金で次第におしゃれになっていく。だがよいことばかり続かないのが人生というもの。仲間割れにはじまり、うぬぼれたベンの大失敗、あげくにカジノの警備主任に見破られ半殺しの目に遭う。教授に捨てられ、すべてを失い、ボストンに帰ったベンだが、そこからの大どんでん返しが観客を幸せにしてくれる。
原作を読んだケヴィン・スペイシーは、すぐに映画化権を買い、自らプロデュース。こちらのギャンブルは大当たりだ。(文:神吉英行Text: Hideyuki Kanki)
5月31日(土)より有楽座ほか全国ロードショー
[原題]21
[URL]ore-tensai.jp
[監督]ロバート・ケルティック(「キューティ・ブロンド」)
[出演]ジム・スタージェス([アクロス・ザ・ユニバース])、ケイト・ボスワース([スーパーマン・リターンズ])、ケヴィン・スペイシー([ユージュアル・サスペクツ])、ローレンス・フィッシュバーン(「マトリックス」シリーズ)
[配給]ソニー・ピクチャーズエンタテイメント
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