ひさしぶりにわくわくどきどきするラブコメの王道。
クライマックスに向けて、観客はすっかり主人公に感情移入し、苦難の末の甘い結末にうっとりするだろう。この映画は、ストーリー展開も巧いが、大都会ニューヨークとスコットランドの美しい大自然を対照させた映像が素晴らしい。
主人公トムを演じるのは、TVドラマ「グレイズ・アナトミー」でブレイクしたパトリック・デンプシー。トムはニューヨークに暮らす金持ちの独身プレイボーイで、映画の前半では鼻持ちならない嫌な野郎だ。
「同じ女性と2晩続けてデートしない」
「家族には紹介しない」
「もらった電話には24時間以後しかかけなおさない」など、勝手なルールで恋愛ゲームを楽しんでいる。
しかし、大学時代からの親友ハンナ(ミシェル・モナハン)だけは、なぜか別格。休日には、マンハッタンでブランチのあと、スタバでコーヒーを飲みながらなんでも語り合えるフランクな間柄。トムはそれがずっと続くと思っていた。
そんなある日、メトロポリタン美術館に勤めるハンナが、スコットランドに6週間もの長期出張へ。ハンナのいない週末が急に寂しくなるトム。携帯電話もつながらず、寂しさが募るばかり。やむなく他のガールフレンドを代役にするが、どうもテンポが合わない。ようやくハンナへの愛に気づいた。と思ったら、ハンナは幸せ一杯、満面の笑みをたたえ、婚約者を連れてスコットランドから帰国した。
名門スコッチメーカーの御曹司でスポーツ万能、トムに勝ち目はない。おまけにハンナはトムを花嫁付添い人に任命してしまった。
いさぎよく祝福しようとする気持ちと、愛する女を取り戻したい男としての葛藤。プレイボーイが一転して純情な男に変わって行く運命の皮肉が切なく可笑しい。トムは自分の気持ちをアンナに正直に伝えられないまま、スコットランドでの結婚式は迫ってくるのだった。
トムに輪をかけたお気楽なプレイボーイの父親を演じ、6度目の結婚式風景で笑わせてくれるのは、アカデミー賞監督のシドニー・ポラック。全米公開直前に逝去し、映画ファンには貴重な遺作となった。
邦題はいまいち魅力に欠けるが、原題の「Made of Honor」は、花嫁付添い人という意味。結婚式にまつわる価値観の違いは、それぞれのお国柄をよく表していて見どころのひとつになっている。
(文:神吉英行 Text: Hideyuki Kanki)
[原題]Made of Honor
[URL]http://www.sonypictures.jp/movies/madeofhonor/
[監督]ポール・ウェイランド(「シティ・スリッカーズ2」「ロザンナのために」)
[出演]パトリック・デンプシー(「グレイズ・アナトミー」シリーズ)、ミシェル・モナハン(「Mr.&Mrs.スミス」「M:i:V」)、シドニー・ポラック(「トッツィー」でアカデミー作品賞、「愛と哀しみの果て」でアカデミー監督賞受賞)
[配給]ソニー・ピクチャーズエンタテイメント
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