5年前のブラジル映画「シティ・オブ・ゴッド」は、世界の映画ファンにとって衝撃的だった。貧困、麻薬、暴力が渦巻くリオデジャネイロのスラム街、ファヴェーラを根城とするギャング団の抗争劇は、まさにブラジル版「仁義無き戦い」と言うべき傑作。その続編のようなタイトルからファンは前作を上回る激しいアクションを期待するかもしれない。この作品は、同じファヴェーラを舞台にしながら、暴力と一線を画したふたりの少年を主人公として描かれる。問題は銃では解決できないというメッセージを込めた力強い青春ドラマだ。
ファヴェーラで生まれ育った幼なじみのラランジーニャ(ダルラン・クーニャ)とアセロラ(ドグラス・シルヴァ)は、もうすぐ18歳になろうとしている。海辺で無邪気にじゃれあうふたりだが、実はそれぞれに不安を抱えている。ラランジーニャは父親の顔も知らずに育ち、アセロラはこの歳ですでに所帯持ちだ。
ラランジーニャのいとこマドゥルガドは、デッドエンドヒルのファヴェーラにあるギャングのボスであるが、ラランジーニャは仲間に入らずまじめに働いている。アセロラも2歳の息子クレイトンのために、妻のクリスと共稼ぎを続けている。彼らは、貧しいながらも周囲に支えられながら懸命に生きている。
そんなある日、アセロラがラランジーニャの父親の消息を突き止めた。人を殺して刑務所に入り、もうすぐ仮出獄すると言う。居場所を突き止め、ようやく会えたというのに、なぜか父親のエラウドは息子に冷たく、引き合わせた恩人であるアセロラにさえよそよそしい。実はエラウドはふたりに絶対言えない大きな秘密を抱えていたのだ。
父親の出現により友情に微妙なひびが入るふたり。さらにギャング内のある出来事に関わったことから、アセロラは仕事をクビになり命を狙われる羽目になる。いつしかアセロラは、マドゥルガドのもとに身を寄せていた。ギャング内の抗争が激しくなり、アセロラの身を案じたラランシーニャは彼を救出に行くのだが、そこで衝撃の真実を知らされる。
世界を魅了する華やかなカーニバルの裏で、リオデジャネイロには600のファヴェーラがあり、100万人が貧困にあえいでいるという。主人公をはじめ出演者のほとんどがその出身者だからこそ、迫真の演技が生まれた。映画のラストシーン、主人公ふたりが2歳のクレイトンの手をつなぎ、朝日を浴びて歩いていく後ろ姿は、暴力を乗り越え、希望に満ちて美しい。(文:神吉英行 Text: Hideyuki Kanki)
8月9日(土)より渋谷シネ・アミューズほか全国ロードショー
[原題]CITY OF MEN
[URL]http://cityofmen.asmik-ace.co.jp/
[製作]フェルナンド・メイレレス(「シティ・オブ・ゴッド」「ナイロビの蜂」監督)
[監督]パウロ・モレッリ(「シティ・オブ・ゴッド」TVシリーズ)
[出演]ダルラン・クーニャ、ドグラス・シルヴァ、ジョナタン・ハーゲンセン
[配給]アスミック・エース![]()
