日本とソ連、ドイツの3つの国の軍服を着て戦った男の実話に基づく物語である。
韓国側から描いたことによって、日本人による朝鮮人差別に遠慮なきリアリティが生まれたが、この映画は単に差別を描くものではない。日本と韓国、ふたりの主人公には民族差別を超えた男の闘いがあり、戦争の極限状況を乗り越える事で、それがいつしか強い信頼に変わっていく、男同士の友情の物語である。
物語は日本軍占領下の朝鮮で憲兵隊司令官の家に生まれた少年とその使用人の息子の出会いから始まる。ふたりは成長とともにオリンピックのマラソンを目指すようになるが、戦争激化によりオリンピック出場の夢は絶たれてしまう。やがて、数々の差別や弾圧を経て、日本軍に強制徴用されたキム・ジュンシク(チャン・ドンゴン)の前に鬼の司令官として現れたのは、なんと少年期のライバルだった長谷川辰雄(オダギリジョー)だった。長谷川は徹底した天皇礼賛主義者で、朝鮮人のキムを目の敵にして執拗に苛め抜く。
ふたりは司令官と兵士としてロシアとのノモンハン事件を戦うが、ともにロシア軍の捕虜となり収容所に入れられてしまう。立場が対等になったふたりは、今度は両民族のリーダーとして殺しあうようになるが、極寒の収容所を逃れるため、ロシア兵としてドイツ戦線に志願する。ところがロシア軍の敗北により、ふたりはいつしかドイツ兵としてノルマンディ上陸作戦の前線に立たされていた。朝鮮半島から数えておよそ12,000キロの数奇な旅を経るうちに、ふたりには憎しみを超えた固い友情が生まれていた。
この映画は、ハリウッド映画に匹敵するすさまじい戦闘シーンの迫力も見どころのひとつだが、戦場における様々な人間の弱さ、裏切り、醜さの中で、立場こそ違えともに信念と勇気を貫くふたりの人間の生き方こそが最大の見ものであり、マイナス15度の屋外で3ヶ月の撮影に耐え抜いたオダギリジョーとチャン・ドンゴンの渾身の演技に拍手を送りたい。
(文/神吉英行 Text: Hideyuki Kanki December26 , 2011)
2012年1月14日(土)より 全国公開
[出演] オダギリジョー(「メゾン・ド・ヒミコ」)、チャン・ドンゴン(「友へ
チング」「ブラザーフッド」)
[監督] カン・ジェギュ(「シュリ」「ブラザーフッド」)
[URL] myway-movie.com
[配給] 東映
