読者の旅レポート

スペイン(カナリア諸島)

偶然入った教会で思わず涙がホロリ

青木道子さん(東京都)

ビーチを望むアパートでロングステイ

スペインの自治州のひとつであるカナリア諸島は、アフリカのモロッコにほど近い大西洋上にあります。なかでもいちばん大きなテネリフェ島は年中温暖で、美しい自然があり、ヨーロッパ人に人気のリゾート地。そんなテネリフェ島のプエルト・デ・ラ・クルスという町のアパートホテルに40日間ステイしました。
私が借りた9階の部屋のテラスからは、ビーチとテイデ山が見えました。テイデ国立公園のパラドール(古城や宮殿、修道院など中世の貴重な建築物を利用した国営ホテル)を訪れたり、島の西海岸からイルカウォッチングのセイリングに出かけたり、ほかの島への日帰りツアーに参加したりと、毎日が充実していて、リラックスできました。

プエルト・デ・ラ・クルスの街並み。古くからヨーロッパ人の観光客でにぎわい、ホテルやショップが立ち並ぶ。

偶然入った教会のミサに参加した

プエルト・デ・ラ・クルスからバスで30分のラ・ラグーナという世界遺産の町に、サンタ・クララ・デ・アシスという忘れられない教会があります。町の広場で出会ったサンタさんのようなひげのおじさんに、「ぜひ、行きなさい」とすすめられたのです。
なかに入ってみると、その日はちょうど特別に祭壇が飾られていて、右手に聖盃、左手に杖を持ったサンタ・クララは黄金の服を纏い、白とブルーのドレスのマリア様もとても美しい。ステンドグラスを通して祭壇に夕日が差し込む時間になると、さらに美しさが増しました。
やがてミサがはじまりました。神父様の説教の間、スペイン語がわからないので、とにかくまわりの人たちの動きに合わせて立ったり座ったり。神父様のあとを銀のポットから煙をまきながら従者たちが進み、信者のひとり一人の口に、パンを与えます。次は献金用トレイが回ってきて、私も献金しました。

テイデ国立公園での1枚。後ろに見えるのが標高3717.98mのテイデ山。

そこにいたみんなと感動の握手を

教会のなかは白人ばかりで、私だけがアジア人。ミサの最後、信者同士でにこやかに握手をする場面です。隣の女性から私に握手を求めてきました。その隣の人も私と握手。反対隣の壁側の婦人も私に握手。前に座っていた男性が振り返って、私に手を差し出しました。まわりにいるすべての人々と順に握手を交わしました。
ただその場にいるというだけで、見知らぬ人同士でもしっかり手を握り合う。日本を出て、ひとり旅をもう50日以上続けていた頃だったから余計でしょうか、夕方4時半くらいからミサが終わる7時まで教会にいたのですが、心が洗われる気がしました。涙が出てきて、止まりませんでした。その場所自体が神聖で気高く、そして愛情が満ちていると感じずにはいられませんでした。日本に帰ったら、各地に離れている兄弟、家族全員が父母のもとに一同に集まって会えますようにと祈りました。

ラ・ラグーナには17、18世紀の建物がそのまま残っている。

青木道子さん

東京都/中学校教員/青木道子さん 51歳

退職後、それまで訪れたことのなかった国に行きたいと思い、スペインでロングステイをすることに。テネリフェ島に40日間、マヨルカ島に1か月間、さらにバルセロナとマドリッドも訪れて合計3か月間滞在した。現在は臨時講師として再び教壇に立っているが、今後はロングステイ経験者や希望者と情報交換をしていきたいと考えている。